日本の横笛の種類とは?篠笛、龍笛、能管だけじゃない!

日本の横笛の種類とは?篠笛、龍笛、能管だけじゃない!

日本の笛といえば、ほとんどの方が尺八を思い浮かべると思いますが、尺八のような縦笛よりも横笛の方がたくさんの種類があります。

この記事ではそんな横笛の種類を紹介させていただきます。

 

龍笛(りゅうてき)

主に雅楽の唐楽で使われる横笛ですが、催馬楽(さいばら)、朗詠(ろうえい)などの種目でも広く使われていたようです。竹製で穴は7個で長さは40cm程度です。指穴以外のほとんどの部分には樺巻という、桜の樹皮の繊維が巻かれています。頭部にはおもりが入れられ、赤い色の布で飾られています。管内は朱色の漆で塗り固められています。合奏では主に主旋律を担当します。

  • 唐楽・・・中国から日本に伝来した唐代の音楽
  • 催馬楽・・・平安時代に隆盛した古代歌謡。元来存在した各地の民謡・風俗歌に外来楽器の伴奏を加えた形式の歌謡
  • 朗詠平安中期から流行した歌謡で、漢詩文の一節を朗吟するもの

 

能管(のうかん)

能楽で使われる横笛の一つですが、能だけではなく歌舞伎、寄席囃子や祇園囃子でも用いられます。 竹製で、穴は7個、長さは龍笛とほぼ同じ39cm程度です。能管の頭部には金属製の飾りがついていて、内側の特徴として、吹き口と指穴の間の管内に「のど」と呼ばれる別の管が挿し込まれ、その分だけ直径がわずかに狭くなっています。

そのため、一般的な横笛とは異なり、強く吹いても1オクターブ出ず、演奏者には能管独特の「ヒシギ」という最高音域の音で、鋭く鳴らす技術が必要とされます。

能管は、歌舞伎やお囃子にも使われますが、三味線などの音階とは合わないため、篠笛と使い分けされています。能管のように音程よりも、音色を重視するというのは、日本ならではの楽器の大きな特徴といえるかもしれません。

 

高麗笛(こまぶえ)

雅楽の高麗楽で使われるものです。龍笛に似た外観ですが、龍笛と比べると細く、穴は6個、長さは37cm程度で、龍笛よりも高音がでます。頭部は青い布で飾られたものが多く、高麗楽のほか、東遊び(あずまあそび)という種目でも使われます。

 

  • 高麗楽・・・朝鮮から日本に伝わった雅楽の一種
  • 東遊び・・・雅楽の国風歌舞に類される長大な組曲
  • 国風歌舞・・・外来音楽の影響をうける以前から日本にあった古来の歌舞

 

神楽笛(かぐらぶえ)

雅楽の神楽歌(かぐらうた)で使われるもので、竹製で穴は6個、46cm程度と長い横笛です。頭部には赤と緑などの模様の布が使われています。音の高さは全音、龍笛よりやや低いです。

  • 神楽歌・・・古代歌謡の一種。神前で奏する神楽 (御神楽) に伴って歌われる歌謡

 

篠笛(しのぶえ)

 

篠竹(女竹)でつくられたシンプルな横笛です。穴は6個、もしくは7個のものがあります。篠笛は身近な竹を素材にするものであるため、郷土芸能などでは古来用いられてきました。

篠笛には様々な長さのものがあり、歌舞伎囃子などでは三味線に合わせて、すべての調子の笛が必要となります。篠笛の音程は「○本調子」と呼ばれ、半音刻みで一本調子から十三本調子まであります。

最もよく用いられるのが、ピアノの白鍵にあたる音階を吹く「八本調子」で、篠笛の調子は笛の頭部に漢数字で書かれています。

 

みさと笛

現代邦楽会を設立された山川直春(やまかわ なおはる)氏が考案された、比較的最近できた新しい笛(昭和31年に開発された)。

みさと笛の特徴としては、篠笛の裏側(構えたとき左親指に当たる裏側)に指穴を開けたもので、ドシ、ドシの操作を裏穴のみでできるためテンポの速い曲が通常の篠笛よりも吹きやすくなっています。

天然の竹管では一本一本が外形、内径ともに異なり、音律が一定せず水道管等でも作ってみたそうですが、納得ができず、「わだ楽器」に木管作成を託されたようです。

 

テンポの速い曲が吹きやすくはなりますが、今まで横笛を吹いてこられた方には、慣れるまで時間がかかるかもしれません。

ドレミの音階で吹けますので五線譜・数字譜で吹くことができます。

 

明笛(みんてき)

明の時代、明楽や清楽と共に、中国から伝わってきたと言われている明笛。
各地の囃子などで用いられるようになり、その音色は代々伝承されてきていました。
指穴以外に響孔があり、響孔を薄くて丈夫な竹紙でふさぐと、振動による特有の響きと音色を奏でます。

 

  • 明楽・・・中国の明代の音楽
  • 清楽・・・清国から伝来した、民謡、俗曲を中心とする音楽

 

田楽笛(でんがくぶえ)

※上記写真は龍笛です。田楽笛は龍笛に似た形状をしています

 

田楽笛とは日本の狂言方和泉流能楽師である故・野村万之丞(のむら まんのじょう)氏が大田楽での使用する際に考案された笛で、能楽師の一噌幸弘氏および笛師蘭情氏によって開発、製作されました。

能楽が誕生する以前から、日本には田楽能という芸能があり、それを再現するため、過去の資料に基づき、創作したのが田楽笛なんだそうです。

観阿弥と世阿弥の確立した能楽は、演劇性の高いものですが、田楽能は演劇性より音楽性を重視したもので能初心者の方も入りやすいものとなっているようです。

 

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